企画委員会による2025年度学会大会・共通論題の企画内容公開のお知らせ
日本比較政治学会第28回研究大会(於 東洋大学 オンライン)
(2025年6月28~29日)
共通論題「多様な領域における格差と較差」
企画委員長 中井 遼(東京大学)
格差は比較政治において古典的なテーマである。ただし通常それが論じられるのは,もっぱら経済的格差やそれにまつわる福祉や社会保障の政治経済争点である。しかし,人が社会においてその生を発揮する阻害要因となるのは,何も経済要因に限ったことではない。
たとえば,たまたま生まれ落ちた地域の差,ジェンダー差,民族差などが人々のもつ政治経済的境遇を左右する。政治や政策の影響は彼らに一様に及ばず,時にそこにある機会や境遇の較差を拡大(あるいは縮小)する。これらの現象について理解を深めるには,何よりも多様な政策領域や社会経済的背景において存在する格差を記述し,またその較差がいかなる要因によって大きく/小さくなるのかを分析することにある。それらはどのように政治的現象へと変換されており,どのように他の争点や格差とも連動しているのだろうか。
この共通論題では,環境保全,ジェンダーと紛争,政治的代表という3つのテーマに関して存在する,人のもつ資源の偏在性や格差/較差についての報告を通じ,上記のような論点を考える契機としたい。
司会 中井 遼(東京大学)
報告 飯田 健(同志社大学)「一票の格差の縮小は社会・経済格差を拡大する?」
田中(坂部) 有佳子(共立女子大学)「紛争後社会における格差~元兵士の社会再統合施策から〜」
舛方 周一郎 (東京外国語大学)「ブラジルにおける軍事主義化と環境主義化の較差について」
討論 仙石 学(北海道大学)
岡田 勇(名古屋大学)