日本比較政治学会第10回大会プログラム

2007年度 日本比較政治学会プログラム

2007年6月23-24日[於 同志社大学]

第1日 6月23日(土) 13:30~15:30

自由企画1|「『ニューリーダーシップ』とその行方:アジア、そしてロシア」

日本に小泉政権が成立した2001年と前後して、アジアには相次いで新しいスタ イルを持つ政治的リーダーが登場した。今日これらの政権は、これまた時を同じくするかのように、自らの幕を下ろしつつある。何故に、アジアに颯爽と登場した嘗ての「ニューリーダー」達は今日困難に直面し、その後には一体何が来るのか。アジアとロシアの比較との視点を交え、今日の「ニューリーダーシップ」を巡る状況について考えることを目的とする。

[司 会]
木村幹|神戸大学
[報 告]
上田知亮|京都大学
「BJPは何故失敗したか」
横山豪志|筑紫女学園大学
「民主化後インドネシアの『新しい』大統領とその限界―大統領への期待と現実―」
河原祐馬|岡山大学
「『プーチニズム』:ポピュリズムの後には何が来たか」
[討 論]
玉田芳史|京都大学
若畑省二|前信州大学

自由企画2|「ポスト体制移行期におけるコーポラティズムの可能性」

「開発途上諸国」の分析において、コーポラティズム概念は、過去の遺物であるかのごとく扱われる。しかし「政治体制」転換のみをもって、その消滅を宣言するのは短絡的である。本企画は、かつて国家コーポラティズムとされた国を中心に、コーポラティズム的なものの残存/再生/縮小を比較検討するとともに、先進国分析を中心に構築されたこの枠組の援用可能性と限界を検討する。

[司 会]
出岡直也|慶應義塾大学
[報 告]
上村泰裕|法政大学
「大きな取引と小さな取引―韓国と台湾における新たなコーポラティズムへの模索―」
上谷直克|アジア経済研究所
「国家コーポラティズム(論)の呪縛?―「民主化」以後のラテンアメリカにおける 政・労・使関係の軌跡―」
横田正顕|東北大学
「現代スペインにおける労働政治の変容―ポスト移行期の社会的協調―」
[討 論]
仙石学|西南学院大学

自由企画3|「旧ユーゴ連邦崩壊15年」

旧ユーゴ連邦が崩壊して15年が経過した。各国をめぐる状況には依然流動的な部分もあるものの、この時点での一定の総括は有益であろう。本企画では、平和構築後における「国民形成」の帰趨が、安定した民主国家の成立・維持にとって持つ意味を中心的な視角とし、3ヶ国の比較検討を行う。

[司 会]
月村太郎|神戸大学
[報 告]
定形衛|名古屋大学
「旧ユーゴ連邦崩壊とセルビア」
大庭千恵子|広島市立大学
「マケドニア共和国(FYROM)の変化 ―2001年以後を中心に」
久保慶一|早稲田大学
「デイトン合意後のボスニア・ヘルツェゴヴィナ ―紛争後の多民族国家における持続可能な制度の模索―」
[討 論]
林忠行|北海道大学

自由企画4|一党優位政党制の形成要因と崩壊要因

本企画では、「一党優位政党制」とは何か、それがどのような要因によって形成され、どのような要因によって崩壊するのかという点について、日本、スウェーデン、インドの事例を念頭に置きつつ、比較検討を行う。その際、各国事例の検討に終始するのではなく、そもそも「一党優位政党制」とは何かという、理論的な志向も併せ持って検討したい。

[司 会]
佐川泰弘|茨城大学
[報 告]
岩崎正洋|日本大学
「一党優位政党制の条件」
渡辺博明|大阪府立大学
「スウェーデンにおける一党優位政党制」
三輪博樹|筑波大学
「インドにおける一党優位政党制」
[討 論]
山本達也|慶應義塾大学
三竹直哉|駒澤大学

自由企画5|「英仏左翼政権と欧州通貨統合」

英キャラハン政権と仏モーロワ政権が欧州通貨制度に対してとった政策を比較することにより、左派政権が欧州通貨統合への関わり方を決定する際に直面するディレンマ、ならびに両国の左派政権が、結果的に対照的な政策を採用した要因とその帰結について考察を深める。

[司 会]
村上信一郎|神戸市立外国語大学
[報 告]
池本大輔|東京大学・オックスフォード大学
「イギリス・キャラハン労働党政権と欧州通貨統合──IMF危機から欧州通貨制度の設立まで 1976-79年──」
吉田徹|北海道大学
「モーロワ政権におけるEMS論争と社会党政治―『転回』は何故もたらされたか」
[討 論]
遠藤乾|北海道大学
野田昌吾|大阪市立大学

16:00~18:00

分科会A|「君主制と政党政治:比較政治史的検証」

今日の政党政治のあり方は、政治体制や経済・社会環境だけでなく、歴史的経緯に少なからず規定されている。民主主義という発想が台頭し始める中、各国では公選を権力の源泉とする勢力と世襲を権力の正統性とする勢力が権力闘争を繰り広げた。この分科会では、英独日の三カ国を取り上げ、代議制民主主義が確立する上で世襲勢力の指導者が果たした役割とその限界を明らかにし、各国間の共通点や相違点について考える。

[司 会]
増山幹高|慶應義塾大学
[報 告]
君塚直隆|神奈川県立外語短期大学
「ヴィクトリア女王とイギリス政党政治」
今野元|愛知県立大学
「皇太子フリードリヒ・ヴィルヘルムとドイツ政党政治」
村井良太|駒沢大学
「元老西園寺公望と日本政党政治」
[討 論]
伊藤武|専修大学
福元健太郎|学習院大学

自由論題1|「国際政治と国内政治の連関をめぐる歴史的展開」

[司 会]
久米郁男|早稲田大学
[報 告]
浅野康子|筑波大学
「英仏における民営化政策比較~自動車メーカーの民営化過程における「社会的学習」を中心に~」
岡本至|文京学院大学
「新国際金融アーキテクチャーと米国:体制選択、リーダーシップ、政策選好」
小田桐確|上智大学
「国内政治体制の変動と同盟の機能変容 近代ヨーロッパを事例として」
[討 論]
古城佳子|東京大学
久米郁男|早稲田大学

自由論題2|「社会・教育政策におけるガヴァナンス変容」

[司 会]
唐渡晃弘|京都大学
[報 告]
金淳和|早稲田大学
「公的扶助をめぐる福祉政治の韓日比較」
中島晶子|早稲田大学
「スペイン福祉国家とボランタリー・セクター」
大村和正|神戸大学
「教育政策の展開とイギリスのガヴァナンス論 -ブレア政権下の地方教育当局の役割変化を中心に-」
[討 論]
小川有美|立教大学
新川敏光|京都大学

自由論題3|「利益集団政治の比較分析」

[司 会]
島田幸典|京都大学
[報 告]
矢島敦子|筑波大学
「アメリカにおけるテロ対策と市民的自由のバランスの行方―情報プライバシー権の侵害を伴うテロ対策の導入がもたらした変化からの考察」
土倉莞爾|関西大学
「キリスト教民主主義とコーポラティズム―1930年代のヨーロッパ比較政治―」
平井由貴子|筑波大学
「トルコの政治過程における団体の行動様式:団体調(2004)の分析を中心として」
[討 論]
島田幸典|京都大学
鹿毛利枝子|神戸大学

自由論題4|「途上国研究の新アプローチ」

[司 会]
大串和雄|東京大学
[報 告]
舟木律子|神戸大学
「ボリビア地方自治体改革-左派政権誕生の主要因として」
中溝和弥|東京大学
「暴動の終わり方-インド・ビハール州における政治変動とアイデンティティの政治-」
菊池 啓一|ピッツバーグ大学
「連邦制下における上下両院の立法行動の差異―アルゼンチンの事例を手がかりに」
[討 論]
大串和雄|東京大学
片山裕|神戸大学

18:30~20:30

懇親会

第2日 6月24日(日) 10:00~12:00

共通論題|「執政の比較分析にむけて -リーダーシップ論の現在-」

近年、日本をはじめ多くの国々で首相あるいは執政中枢に注目が集まっている。本部会では、コアエグゼクティブ論など執政中枢を分析するための理論枠組をさまざまな視点から検討する。理論的な淵源、議論の背景にある現実政治の動き、政官関係や業績投票など関連分野の先行研究との関係、「大統領制化」論との関係、各国とりわけ日本への適用可能性、分析枠組としての有効性と限界などについて、議論の時間を大きくとり、理解を深めたい。

[司 会]
品田裕|神戸大学
[報 告]
伊藤光利|神戸大学
「政治的リーダーシップ論とコア・エグゼクティヴ論」
原田久|立教大学
「“Governing alone”はなぜ可能か?:ドイツにおける『政治の大統領制化』」
平野浩|学習院大学
「投票行動から見た執政部-有権者関係の変容」
[討 論]
野中尚人|学習院大学
宮本太郎|北海道大学

12:00~13:00

理事会

13:00~14:00

総会

14:00~16:00

分科会B|「移行期正義(transitional justice)の比較政治学」

紛争や抑圧を経験した社会では、法の支配の実現へ向けた「移行期」にどのような正義・司法の可能性がありうるのかをめぐりさまざまな議論がある。本セッションではさまざまな具体的な取り組みの事例を比較検討する作業を通じて、現実世界における意味を読み解きながら、その有効性を検証する。

[司 会]
遠藤貢|東京大学
[報 告]
浦部浩之|獨協大学
「堅実だがきわめて緩慢なチリにおける正義の追求―軍政が用意した法的枠組みが維持されたことの効果と制約―」
コン・ティリー|名古屋大学
「クメール・ルージュ裁判の設立とその意義」
榎本珠良|東京大学
「『アチョリの伝統的正義』をめぐる語り―"We didn't have 'trauma' before ! It's Cen !"―」
[討 論]
土佐弘之|神戸大学

分科会C|「少子化の比較政治学」

少子化は多くの先進工業国において政策課題の一つとなっているが、それが「問題」として政治化するか否か、政治化の具体的文脈と政策対応は社会ごとに異なっている。本分科会は、少子化現象が顕著な日本・韓国・ドイツの専門家にご報告いただき、政治学的な視角からの比較検討の端緒を切り開くことを意図している。

[司 会]
竹中千春|明治学院大学
[報 告]
小野一|工学院大学
「少子化の比較政治学 -ドイツの場合-」
春木育美|慶應義塾大学
「少子化対策は誰のため?―制度と意識が乖離する韓国の少子化問題―」
堀江孝司|首都大学東京
「日本の少子化問題をめぐるアイディアと政治」
[討 論]
藪長千乃|文京学院大学

分科会D|「現代型ポピュリズムの比較検討:台湾・ラテンアメリカ・日本」

近年、各国にポピュリスト政治家が台頭しているといわれる。しかしポピュリズム自体は 古くからある政治現象なのであり、その「古い革袋」にどのような新しさが加わって、現代のポピュリスト政治家の基盤となっているのだろうか。現代のポピュリズムとは、単に一部の分析者の観念の中にだけ存在するものなのだろうか。この点について、ラテンアメリカ・台湾・日本の現代政治を国際比較の中に位置づけながら、検討してみたい。

[司 会]
待鳥聡史|京都大学
[報 告]
松本充豊|長崎外国語大学
「台湾政治におけるポピュリズム」
高橋百合子|神戸大学
「ラテンアメリカ政治におけるポピュリズム」
逢坂巌|東京大学
「現代日本政治におけるポピュリズム」
[討 論]
水島治郎|千葉大学

分科会E|「グローバル化とローカル・ガヴァナンス」

この分科会では、グローバル化の進展が国内政治にいかなる影響を与えているのかを、地方政治、中央-地方関係から考察する。グローバル化は先進国・途上国を問わず進展しているが、同一の座標で分析したものは意外に少ない。本分科会では各国の分析とともに、ローカル・ガヴァナンスの変容に関する理論的貢献も目指したい。

[司 会]
大西裕|神戸大学
[報 告]
三宅康之|愛知県立大学
「中国の財政制度改革と中央地方関係」
岡本正明|京都大学
「実業家による経営手法に基づく地方ガバナンス-インドネシア・ゴロンタロ州知事ファデル・モハマドによるトウモロコシのポリティクス」
工藤裕子|中央大学
「EU統合とイタリアの地方制度 ―サブ・ナショナル政府の行政的・財政的・政治的台頭の背景―」
[討 論]
加茂利男|立命館大学
高原明生|東京大学

自由論題5|「政治体制をめぐる新アプローチ」

[司 会]
鈴木基史|京都大学
[報 告]
濱中新吾|山形大学
「中東諸国における経済格差と政治体制の持続性」
平野淳一|神戸大学
「マルチエージェントシミュレーションによる民主主義定着過程の分析」
上神貴佳|東京大学・堤英敬|香川大学
「投票支援のためのインターネット・ツール-ヨーロッパにおけるVote Matchの現状と日本への適用-」
[討 論]
鈴木基史|京都大学
森裕城|同志社大学